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発作の介助と観察

発作の介助と観察

介助を必要とする発作

どれくらいの介助を必要とするかを、発作の型(タイプ)から決めることはできません。また同じ発作でも、状況によって介助を必要とする度合いは変わります。たとえば、同じ強直間代発作(大発作)でも、睡眠中は観察をしているだけでも良いですが、危険を伴う状況(火や水のそば、高いところ、機械のそば)などでは、手厚い介助を必要とします。

介助をする必要の度合い
  1. 意識の曇りの深さと時間
  2. けいれんの度合いとその範囲
  3. 姿勢の維持、倒れ方のスピード
  4. 発作をおこした状況の危険度や人の量

この4点の要因が多く強ければ、より多くの配慮が必要になります。

発作の介助(大きなけいれん発作)

大きなけいれん発作がおこったら、本人の安全を確保するために、次のことを行ってください。

  1. 火、水、高い場所、機械のそばなど、危険な物・場所の近くから遠ざける
  2. 本人がけがをしないように気を配る(頭の下にクッションを入れる等)
  3. 衣服の襟元をゆるめ、ベルトをはずす
  4. 眼鏡、ヘアピンなどけがをする可能性のあるものをはずす

けいれん発作がおさまったら、体を横に向けて(膝を曲げて肩をおこすと横に向けやすい)、呼吸がもとに戻るのを待ちます。そして、意識が回復するまでそのまま静かに寝かせます。
食事中や食事直後に発作がおきると、嘔吐する場合があります。この際は、吐いたものを誤って飲み込み、窒息することがあり危険ですので、体を横に向けることは重要です。

発作の介助(自動症)

けいれんはないけれど、数分間意識が曇ってあちこちを歩き回ったりする、一見目的にかなった動きを示す発作(自動症)があります。
このとき本人には意識がないので、無理にその行動を制止してはいけません。抑制の方法によっては、思わぬ抵抗を示す場合があります。
こうした、意識がもうろうとする発作では、始まりと終わりがはっきりしない場合が多いのですが、意識が回復するまで、一定の距離を保っててんかんのある人とともに移動し、もし、周囲に危険なものがあれば取り除き、注意深く回復を待ってください。

発作の介助(転倒発作)

転倒発作は、急に崩れるように倒れるなど、通常に倒れる時とは違って身をかばうことが全くできないため、頭や顔に傷を受けることが多くあります。
転倒発作のある人の場合、次のことを注意してください。

  1. 転倒発作が繰り返しおきている期間には、眼の届かない場所に一人にしない
  2. 歩行するときはできるだけ手をつなぐ
  3. 保護帽の着用

保護帽はその人の頭の形にあった物を、その人の傷をもっともよく防ぐことができるように作られるべきです。最近は、デザインや機能が工夫されたものがオーダーメイドできるようになりました。

発作中にしてはいけないこと

発作は止めようとして止まるものではありません。

  1. 体をゆする
  2. 大声をかける
  3. 叩く
  4. 押さえつける

このようなことをしても、発作が早く終わることはありませんので、注意しましょう。
また、口を無理にこじ開けて指や箸、スプーン、ハンカチなどを入れてはいけません。気がついた時には、すでに口の中をかんでしまっていることが多く、役立ちません。かえって口の中を傷つけたり、歯を折ったり嘔吐を誘発します。
また、発作が終わった直後の意識が曇っている間に、水や薬を飲ませてはいけません。窒息や嘔吐の原因になります。発作中は騒がず注意深く見守ることが大切です。

救急搬送が必要な発作

以下のようなときは、医師による処置が必要です。救急車で近くの病院を受診してください。

  1. けいれんのあるなしに関わらず、意識の曇る発作が短い間隔で繰り返す
  2. 発作と発作の間で意識が回復していない状態のまま繰り返す
  3. 1回のけいれん発作が5分以上続き止まらない

発作の観察と記録

てんかんの診断にとって、発作の症状はとても重要です。ところが発作の最中、意識が薄れたり、意識を失うことがあるため、患者さんは自分の発作の症状を自分で知ることが難しいことが少なくありません。同様に、診察する医師の目の前で発作がおこることもまれです。そのため、てんかんの診断と治療方針を決めるために、介助する人や発作を見ていた人の観察と記録がとても貴重です。

発作観察の要点
  1. 発作がおきた時間と状況、誘因になるものはなかったかどうか

    1. 睡眠中か、覚醒中か
    2. 空腹時か(早朝など)
    3. 激しく泣いたり、運動をした後など、過呼吸状態ではなかったか
    4. 木漏れ日あるいは光がピカピカする状況ではなかったか
    5. ぜんそくの薬や風邪薬を服用していなかったか など
  2. 意識障害の有無
  3. けいれんがあった場合

    1. 身体のどこから始まったか
    2. 眼球はどちらに向いていたか、頭はどうか
    3. 四肢は突っ張って硬くなっていたか
    4. 四肢がガクガクとなったか
    5. 左右で差があったか
  4. けいれんではない発作のとき

    1. いつ
    2. 誰が
    3. なぜ、異変に気づいたか
    4. 行動の異常があったときは具体的に
  5. 発作の持続時間
  6. 身体の変化

    1. 顔色
    2. 唇の色
    3. 唾液がでていたか
    4. 呼吸が早くなかったか
    5. 脈が早くなかったか
  7. 発作後の様子(眠ったか、手足にまひがあったか、ぼんやりして歩き回ったか、など)
  8. けがの有無
発作を記録する

発作は、その人それぞれによって異なります。どの場合でも発作の様子をありのままに順を追って、記録することが基本です。

発作記録表に記録しておくことで、発作が減っているのか、増えているのか、いつ発作がおこりやすいのか、などが客観的に評価でき、より良い治療に結びつけることができます。
最近では、携帯電話やスマートフォンの動画機能を用いて、発作の様子を録画しておくことが有効であり、おすすめしています。

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