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Experiences

てんかんについて知る

息子と過ごした日々

Uさん / てんかんのある子の母

私は1982年に長男を出産しました。子ども好きな私はとても嬉しく、3,700グラムで生まれた長男は周りと比べるとしっかりして大きく、今考えるとカメレオンのような顔でしたが、世界中で一番かわいい!と感じていました。

3歳の時に、てんかんの初発作を見ました。それまで、初めての子育てではありましたが、随分育てづらい子どもだと感じていました。大きく生まれた割には大きくなれず、言葉も早く自転車に乗るのも早かったのですが、言葉での説明から何かを会得するのは苦手、自分の事が優先でトラブルがとても多い子どもでした。

子供の時の写真

ニコニコ笑顔(3歳頃)

てんかんと分かり、「育てづらさの理由がこれだったんだ!」、「薬を飲んで治れば、今までの屈辱や不安が解消できる!」と思いましたが、その後が大変でした。発作はどんどん大変になり、薬を飲んでも発作が収まる日はありませんでした。全介助が必要なほどぼーっとした日があると思えば、虫を追いかけて大はしゃぎをすることがあったり、かんしゃくを起こし、物にあたったりしました。 3歳で大発作に見舞われてから、発作も精神症状もひどく知的レベルも7歳程度。生活能力は10歳くらい? 年相応には発達することができませんでした。最終的な病名は、レノックス症候群てんかん性脳症です。大発作という強直間代発作から始まりミオクロニー発作、欠神発作、とにかくありとあらゆる発作をおこしていました。

てんかん発作にはケガがつきものです。周りに危険なものがないかどうか随分注意をしました。すんでのところで死ぬところ…ということもありましたが、無事だったので神様から生きることを望まれた子どもと勘違いをしていた時期もあります。

薬の調整が上手な主治医との出会いのお陰で成人した後、10年近く発作も無く、自分の好きな人や理解してくれる人とはコミュニケーションがとれるけれど、すぐ怒る知的障害者。母の日には少ない訓練手当から買ったプレゼントにメッセージカードをつけてくれる優しい子でしたが、その優しさを発揮する場が少なかったと思います。

うるさい母親と別れてグループホームでの生活を楽しんでいたのですが、2020年の3月31日にSUDEPで眠るように亡くなりました。 SUDEPというのはてんかん患者がてんかん発作ではなく、検死で他の死因が見つからない突然死のことです。
てんかんのある方の全てが、突然死すると考えないでください。重ねて申し上げますが、いつ死ぬかもしれないと怖がって囲い込むなんていう間違えは起こさないでください。
てんかんという脳の障害による重い発作のある息子でしたから突然死があることは主治医からも聞いていて、うすうすは分かっていましたが、自分の身に起こるとは思っていなかったし、こんなに早く突然起きるとは思っていなかったのは正直なところです。
先日、日本てんかん学会理事長の川合謙介先生には、「もうすでにとっかかりが見つかっているのだから、SUDEPはきっと解明できる」と言っていただきましたが、今は医学的に解明されていません。1日も早く大切な人がSUDEPで突然いなくなってしまう不幸が無くなるよう祈っています。

手紙

母の日にもらったメッセージカード

息子には、発作があってもあちらこちら旅行もして、いろんな体験をさせていたつもりでしたが、亡くなった後に自分が出かけた先々で、水族館に連れてきてあげたかった! もっと新幹線に乗せてあげたら良かったと後悔ばかりが先立ちます。そんな私のような後悔をしないよう、先輩母としてみなさんへのアドバイスです。

どんな子どもでも、知的障害があっても発作があっても、子どもの思いを聞いてあげてほしい。その気持ちを学校の先生やドクターに話して、理解してもらい広めてもらいたいと思っています。どんな人も大切です。障害があってもなくても大切な一人です。頑張っているお父さんお母さんも大切な一人です。皆さん頑張っておられますからこれ以上頑張りすぎないで日々元気で暮らしてほしい、またその毎日を暮らす中で頑張っている自分を一番に褒めてあげていただきたいと思います。
今私は長かったようですが、たった37年の息子との生活を、いつも精いっぱい頑張ってきた親子の強い絆となったと感じ始めることができました。息子が生きてきてくれてきたことを感謝し、そこに関われたことに感謝する毎日を過ごすことにしています。

uさん

成人した息子

今大変な思いで子育てをなさっているお母様お父様、今医学は本当に急速に進んでいてどこに住んでいても専門的な正しい医療を受けられる時代になりつつあります。どうぞ悲観しないで明日を信じて生きてゆきましょう。堂々と助けを求めて仲間を増やしていきましょう。
誰の身にも死は訪れます。順番はありませんから、悔いのないように生きていきましょう。

uさん

通っていた事務所にて